仕付け糸〜その１

以前、ニューヨークから帰国するのに
４０時間かかった話しましたが、
その間の退屈を紛らしてくれたのが
山崎豊子様の「ぼんち」でした。

お姉様にしたら
「あら、まだ読んでないの〜？」
てなもんでしょうが、前々から読もう読もうと思ってて
やっと読めたんです。

一旦読み出したら、止まらなくて…。

船場の風俗から商売の仕方、
芸者遊びの細部まで事細かに書いてあって
面白くて面白くて。

６月１日からの帷子、７月１日からの紗の羽織が
嫁入りの荷に入ってなかったというだけで
嫁入り道具を全部里へ送り返す嫁いびり。

…もうたまらんわ〜(^w^)

こんな細かいしきたりを読みながら帰国した夜、
時差ボケと空腹で目が覚めたので
外へご飯食べに出ました。

で、３時過ぎに帰宅したら
着物を着た若い女性がエレベーターに乗ってきたんです。
黒のすそ模様の着物から察しても、３時という時間から察しても
これはきっと新地のお姉さんでしょう。

うちの団地、新地のお姉さんと堂山のお母さん（？）が
やたら多いんです。

アフター終わりでこの時間なのか〜
ご苦労様やなあ〜と何気に着物を目でコいていると
…なんと袖の仕付け糸がついたままじゃあないですか！

夜中の３時ですよ〜
多分、７時過ぎに出勤して
８時間くらいこの着物着てた訳でしょ？

なんぼ薄明かりのお店でも
なんぼ平日で客が少なくても
店のママもいりゃあ、同僚も居てて
誰一人、黒の着物についた、白の仕付け糸に
気がつかないなんて信じられないです！！

オバちゃん、その場で「仕付け付けっぱなしよ〜！」
って言ってやりたかったわ〜。

「ぼんち」読んでただけに
これ見て、何て日本の文化はすさんだんだ〜
って思いましたわ。

全く、親はどんなシツケしたんやろう…。