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姉様キングスの日々の行動をせきららにカミングアウトします…
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6月14日。血液検査の結果GOTもGPTも800ずつ減っている。
ああ、治って来たのかと思うがさにあらず、
早くも慢性化に向けてウィルスが動いているとのこと。
要注意であるが、どうすることも出来ない。
ここは抗体の出来るのをじっと待つしかないのだ。

6月18日。様態よくならず。抗体できず。
ここまで待って抗体ができないなら仕方がない。
薬を飲み始めようという決断が下る。
後で、マコちゃんから聞いた話。
抗体が出来るか出来ないかの境目は35才だそうである。
先生も、ひょっとして…と思て待ってはったんやろう。
悲しいかな、35才の体でなかったということだった…。

6月19日。今投与されている薬について説明を受ける。
この薬、日本で認可されたのはここ何年かのことで、
だいたいは慢性肝炎の人の為の薬なのだが、
急性肝炎の人に用いるのはこの病院ではあなたで3人目だとのこと。
日本でも臨床例が少なく、よってどれくらいで効いてきて
どの位の期間投与を続けたらいいのかがイマイチはっきり分からないらしい。
ただ解かっているのは薬の効き始めが遅いということだそうで、
この病院でいえば、最初に飲んだ人は効き始めまで一週間、次の人は3日だそうで
あなたもそのくらいで効き始めるでしょうとのこと。
効き始めれば、以前飲まれていた薬の1500倍の効き目があるらしく
それはそれは劇的に数値が落ちていくそうな。

6月20日。薬は当然まだ効かないのだが、肝臓が悪化してきた。
ウィルスが大挙して攻めてきたようだ。
GOT、GPT共に入院したときの数値より上がってしまった。
それに対して劇症にならないかどうかの指標のPTという数値
は入院するときより下がってしまった。
これはやばいので、ステロイドを点滴しましょうということになった。

6月21日。今日も続いてステロイドの点滴を受ける。
この薬、体に良いものではないそうなのだが、
打てばたちまち数値が下がる。下がるのだが、一つ弊害が。
それは、薬が効いているのかどうかという判断がつかなくなるのだそうだ。
一週間以上たたないとステロイドの影響は消えないらしく、
薬がどれほどウィルスをやっつけてるのかがわからなくなる。
しかし背に腹は代えられない。
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今回は偶然とはいえ、考えようによってはラッキーだった。
まず、このタイプの急性肝炎は自覚症状がほとんどなく
風邪かな?と思っているうちにすぐにウィルスが潜んでしまい
一見治ったように思って、そのままほったらかしにして
慢性肝炎に陥る場合が多いそうである。

急性肝炎の状態で発見されたこと自体ラッキーであった。
急性の場合はこの時期にウィルスを叩いてしまえば完治してしまうからである。

尿が妙に黄色かったのが症状といえば症状であるが、
特にしんどかったわけでもなかったし、
皆に言わせれば、ビタミン剤を飲んだら、尿が黄色くなることが
よくあるので、気がつかない場合もある、とのことである。

しかも、僕の場合、抗体の出来具合から言って、感染したのが極最近で
すごく早くに病院に来た部類に入るそうである。
言わば、早期発見であった。

もうひとつラッキーだったのは、大きな病院へ行ったことである。

近所のいつも行くSクリニックはどんな症状で行ってもまず点滴を打たれる。
この間、いつも行く散髪屋さんで聞いたのだが、
そこのお兄さん、カット中にハサミで手を切ったので
そのクリニックに行くと、点滴を打たれたそうである…。笑

小噺に「葛根湯医者」というのがある。

「先生、お腹の具合が悪いのですが」
「それはいけませんなぁ、カッコントウを出しましょう」
「あの、頭が痛いのですが」
「そうですか、ではカッコントウを」
「歯が痛いのですが」
「はい、カッコントウを。…あ、そちらは?」
「いや、私、この人の付き添いで」
「それは御退屈でしょう。カッコントウを…」

まさにSクリニックは「点滴医者」である。

まあ、僕の症状を訴えた場合、点滴を打ったあげくに
たいがいは風邪薬をくれて終わりである。

もし、肝臓の数値がそんな状況で負担のかかる風邪薬なんか飲めば
(薬というのは肝臓に負担がかかるそうである。
おしどりマコちゃん曰く、風邪薬を大量に飲んでわざと肝臓に負担をかけて
劇症肝炎になるという自殺法もあるとか)
たちまち劇症肝炎に陥っただろう。

8400円取られても大きめの病院へ行ったことは大正解だった。
マコ嬢のアドバイスには大感謝である。
と、色々説明を受けてから、治療方針が告げられた。

まず、慢性肝炎になるのは絶対に阻止せねばならない。
急性肝炎が慢性化するのは3ヶ月だそうで、
それまでに徹底的にウィルスを叩いてしまおうということになった。

加えて半月後にはブラジルへ行く予定がある。
これは是非とも行きたいのでと先生に告げると
なるべく意向に添えるように頑張ってみます、とのこと。

理想的な状況は自分の力で抗体が出来て、
それが、ウィルスをうわあ〜とやっつけてくれることなので、
まずは1週間安静にして、こまめに血液検査をして、
抗体が出来てくるのを待とうということになった。
この間の治療はひたすら安静にして、栄養を取る以外方法はなく、
精々ポカリスエットのようなものを点滴するくらいである。

1週間たって抗体が出来ない場合は、
病状が悪化する意味もあり、ブラジルに行けなくなってしまう意味もあり
これ以上待っていられないということで
薬の投与で、炎症を止めにかかることにしましょう、とのことであった。
急性肝炎に対して、慢性肝炎という病気がある。

肝炎ウィルスもなかなか頭がいいのである。
細胞の中に入り込んでも壊されてばかりなら、埒があかない。
それで、しばらくすると細胞の中に入るのをやめて、
細胞と細胞の間に潜むのだそうだ。
肝臓はは抗体の到着を待っているのだが、
ふと気がつくと、誰も攻め入ってこない。
おかしいな?とは思いながら、
これはウィルスがもういなくなってしまったのだと判断する。

もういないのなら、と抗体の方にも
「もう、出来てこなくていいよ〜」
とキャンセルの命令を出してしまう。

ところが、実は隠れているのである。
隠れているから、血液検査をしてもなかなか見つからない。
そうこうしているうちにあるとき、あるきっかけで、増えに増えたウィルスが、

うわあ〜っ!!

と襲ってくるのである。奇襲をかけられたものだから、たまったものではない。
肝臓はたちまち、肝硬変になったり、肝癌になったりする。
もし、慢性肝炎がみつかったら、現在はウィルスを押さえる薬を
一生飲み続ける他に対処のしようがなく、
大変やっかいな病気なのだそうである。
先生方から伺った話を自分の言葉で説明してみる。
自分の言葉なので、正確さに欠けると思うが、そこはお許し頂きたい。

まず、肝ウィルスが肝臓にやって来ると、
それぞれの細胞の中に入り込んでしまうのだそうだ。
そうなったとき、肝臓はどうするか?
細胞ごと破壊してしまうそうである。
いわば切腹!みたいな状態である。

肝臓の細胞が切腹すると、その死骸は血液に溶けて体を流れる。
これがGOTとかGPTとかいう数値になって表れるらしく、つまりこれは肝臓の細胞がそれだけ壊れてるというのを表す数値らしい。

通常8〜40くらいなのであるが、
僕の場合その何十倍の勢いで細胞が破壊されていた。
これが急性肝炎なのだそうだ。

戦国時代のイクサだとしたら、敵方がすごい勢いで攻めて来たのだ。一気に城に。
こちら側はやあやあ、我こそは〜と名乗りを上げて戦い、
敵をやっつける代わりに自分も刺し違えて死ぬ。
このままでは自国も滅んでしまうのだが、この肝臓という武将のエラいところは
刺し違えて死んだ細胞をどんどん新しく作っていくのである。
壊れても壊れても新しく作って行く。

でも、これではいたちごっこである。
作っても作ってもウィルスは攻めて来るのだから。

肝臓はエラい。そんなことは百も承知だ。

そのうち「抗体」という名の援軍が駆けつけてくれるのである。
抗体はこの時代に珍しく、鉄砲を担いでやってくる。
そして、ウィルスが城に入る前に、バババババと一気に絶滅させてしまう。

かくして、肝臓方の勝利。

ところが、この援軍の到着を待たずして、ウィルスが予想だにしない勢いで攻めて
くる場合がある。肝臓は頑張ってドンドン再生するのだが、それを上回る勢い
で侵入してくる。それに加えて、肝臓は肝臓本来の「解毒等の業務」というのもこなさねばならず、普段からかなり多忙な日々を送っているのだ。
テンパッタ状態が続くとエエ加減に疲れて来て、再生能力が低下してしまう。

ここを見すまして、またもやウィルスがドッカと攻めて来るともうお手上げ。
降参〜!と城を明け渡してしまう。
体の各部分達は、肝臓が降伏したことを知らされていないので
いつものように、「これ解毒してね〜」といろんなものを持ち込む。
持ち込まれても、もはや、肝臓の中では誰も解毒してくれず、
そのまま、血液中に「返品」となるのだ。

アンモニアなんかは猛毒で、これが返品されて血液を通って、脳に行った日にゃあ、大騒動。途端にヒトは昏睡状態に陥り、致命的な状態に。

つまりこれが劇症肝炎なのだそうだ。
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